『ホーリー・モーターズ』
レオス・カラックス監督13年ぶりの新作。今作で4本目。
私は他の映画は見た事がないので、初カラックス。
多分、これはカラックスから見た映画業界・及び俳優という職業を描いた作品。だと思う………
映画とは、人生とは、を、ドニ・ラヴァン演じるオスカー(オスカーといえばあれよね)という男の1日を通して描いています。
豪邸から出て、リムジンに乗る男オスカー。
彼の1日を描いた作品。
リムジンの中で特殊メイクをし、次から次へと別の人物へと変わっていく。その数11人。ある時は老女。ある時はモーションキャプチャー俳優。
何が演技で、何がリアルなのか、
その目的は?
オスカーはなんの為に演じているのか………
人は誰しも何かを演じて生きているのではないかと思わせる作品でした。
素晴らしかった。難解だけれども、心に響きました。
星5です。大満足です。
以下、ネタバレ??!!
とはいっても、私の個人的解釈なので違うかも(笑)
途中、パトロンとおぼしき男に訪ねられる。
「君はもう、潮時かという声がある。君の原動力は?」
答えるオスカー。「行為の美しさ」
「それは観客の目にある」
「しかし、観客がいなかったら?」と。
これはまさしく俳優のことを描いており、なんとも心に残ったセリフでした。
またある時は、たまには森にいきたいと言う。つまりはハリウッド。
ハリウッドとして描かれる(そして演じる)それは、美という偶像(エヴァ・メンデス)と、奇なるもの異色なものとの融合。
途中で歌われるWho were weという曲。
エンディングで流れる「もう一度人生をやりなおせたら」
など、ひとつひとつ、セリフひとつひとつに意味があり、考えさせられました。
オスカーが1日の最後に演じるものも、なんとも………
そして、人生という聖なる車ホーリー・モーターズに乗り、転がり続ける。また新しい1日が始まる………
それは、果たしてオスカーや演じるものだけのものなのか。
私たち、全てのものなのか。
と、思ったのです。
ちなみに、オスカーが演じているのが11人とあったけど、12人になっちゃった!!
誰かが違う(笑)
老女・モーション・くそと呼ばれる名前の男(ゴジラのテーマ曲が流れる。私は未見だけれど、オムニバス映画「Tokyo」にでてきたらしい)・お父さん・アコーディオン弾き・テオと呼ばれる男・そのテオを殺しにきた男・目だし帽子の男・目だし帽に殺される銀行家・ヴォーガンと呼ばれる臨終間近の男・自宅に帰る男