『ストーリー・テリング』
大好きなトッドソロンズ監督の2001年の映画を再見。
前半はフィクション、後半はノンフィクションと題うった設定になっている。
前半フィクション。
脳性小児麻痺の彼氏をもつ大学生ヴァイ。
ピューリッツァー賞作家でもある黒人教授とのレイ プに近い行為を描く。
舞台は1980年代。アメリカが保守に傾倒していった時代であり、人種間の緊張が高まった時代。ヴァイは、「黒人を差別するな、差別するな」と、心に言い聞かせる………
後半ノンフィクション
2000年、当時の現在。
しがない中年の男(ポール・ジアマッティ)。高校生のドキュメンタリーを撮ろうとする。対象となったのは、これまたどうしようもない高校生スクービー。人生を投げやりに生き、夢はテレビに出る事。 裕福なユダヤの家系に産まれたスクービー。そして、その兄弟。
ホロコーストのことを語っても、決して現実的ではない。エルサルバドル人の家政婦のつらい現状は、全くリアルとしてうけいる事ができない一家。
トッドソロンズ監督は大好きな監督のひとり。日本未公開のやつ以外は全部見てる。
彼が描くのはサバービアと呼ばれる、都市の郊外に住む人々の、画一的で表層的な、かつその裏に隠された狂気。
一見して普通の日常生活の中に潜む人々の心の闇を、巧みなセリフで浮かび上がらせる。
表層と実態。その葛藤。
悲劇を悲劇として描かない、その独特のブラックユーモアは、常にタブーを描き、アメリカですら単館上映になるほどらしい。
しかし、それが、コメディータッチでさらっと進んでいくので、決して説教臭くなく
重くなく、でも、心に小さなトゲがたくさん刺さるような作品を作っています。
一番新しいソロンズ監督の「リア獣エイブの恋」よりも、断然痛い。
この監督、ニュージャージー出身で、いつもニュージャージーを舞台に描いてる。大都会に近いけど、つまらない都市。ベッドタウン。
そこに住むサバービアを描いたもう一人の監督、ケビン・スミス監督のコメディも是非見て欲しいです。