ビール片手に映画ナイト☆オブ・ザ・デッド

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『美しき獣』

美しき獣 [DVD]

『美しき獣』
2013年アメリカ映画

町外れの豪邸に住むジュナ。脚本家のパオロと一目で恋に落ちるが、彼女はヴァンパイアだった。
血への渇望。許されない愛。葛藤。
パオロは彼女と結ばれたい一心で、ヴァンパイアになる事を決意する。
二人の愛の生活は幸せなものだった。
しかし、ジュナの妹で自由奔放なミミの登場で、平穏が崩れて行く……


前半わずか20分で表される、怒濤の、止めどない愛とヴァンパイアであるが故の苦悩。
アチェーン越しのキスシーンが印象的だった。

朝日が上る前の明け方の湖畔や、ほのかに明るくも青とグレーに彩られた町並みやおぼろげな街灯。
それらがほんとに美しかった。
ギリギリまで外の空気をいとおしむジュナの気持ちが見てとれた。
彼女はヴァンパイアとしての自分を蔑んでるでも、卑屈になっている訳でもなかっただろう。ずっと苦悩と共に生きているにも関わらず。
しかし、愛する人と出会って、今を愛しむ気持ちが何倍にもなったと感じる風景だった。

そして、この映画でえがかれるヴァンパイアは人を襲わない。人工血液で凌いでいる。でも、血が欲しい。
その途中ヴァンパイアコミュニティーで語られるヴァンパイア哲学とモラルに対して、全くそれに従わないミミ。容赦なく人を襲うミミ。姉妹が仲が悪く、ジュナがミミに怒りを感じるのは、血への嫉妬でもあるのだと思う。


叙情的な音楽やオペラ、ロックなど、音楽が良かった。

ジム・ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』をちょっとだけ官能的にした感じの映画でした。
あと『ビザンチウム』の許されないヴァンパイアの愛も思い出した

ヴァンパイアものとしては、変貌するシーンはなかなか迫力があり、特殊メイクも良い♪怖さと美の融合。結構怖いよ。なおかつ演技で切なさも漂う。


なんの映画かわからないけど、冒頭でジュナが見ているモノクロ映画で、
「私は眠れるの、あなたの温もりと鼓動の音楽があれば。」「共に、共に…」という台詞が流れる。
数十年、共に眠りにつける人のいなかったジュナの、愛と恋と安らぎに対する気持ちが後々になってよくわかるシーンでした。


恋や愛をすると、景色が美しく見えると思う。
この映画、なんかそういうところが印象に残った。
ストーリーはまあまあだけど、それよりも陽の昇る前の映像美。↑上でも書いたけど。

共に、共に……が響く。


監督は、名匠ジョン・カサヴェテスの長女ザン・カサヴェテス。女性監督ならではな感じ。

星4


原題は『kiss of the damned
永遠に呪われたキス