『モナリザ』
『モナリザ』
1986年。監督は『クライング・ゲーム』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『ビザンチウム』などのニール・ジョーダン
7年のムショ暮らしからシャバにでたジョージ。
戻っても妻からは追い出され、娘とも会わせてもらえない。自分が身代わりに罪を負ったボスの所へいき、黒人高級コールガールのシモーヌの運転手となる。
粗雑なジョージと美しいシモーヌは、最初はケンカばかりしていたものの、だんだんと絆で結ばれていく。シモーヌに恋心を抱くジョージ。
そんな折、行方不明の元娼婦仲間を探して欲しいとシモーヌに頼まれる…
運転手のはずのジョージがだんだんとハードボイルドな探偵みたいになってくる。チビハゲこでぶのジョージなんだけど、その見た目と裏腹に、粗野で武骨で不器用だがかっこよくみえてくる。
そして、裏社会の闇。
「金さえ払えば誰でも若い女をいたぶれる」ってシモーヌが言うんだよね。
町には娼婦がどこにでもいるような映像がながれたり、ひどい事をされている映像は少ないものの、暴力とドラッグによって性の奴隷となっている女性たちの闇が胸をうつ。
実際におこっている事を、推理小説マニアの親友に、自らを主人公としたフィクションとして話す2重構造も良い。
ハードボイルド・フィルムノワール・ラブストーリー。
切ないが、心暖まる物語でもある。
ジョージ役はボブ・ホスキンス。
この映画でカンヌや数々の主演男優賞を受賞。
星4.3
ナット・キング・コールの「モナリザ」が情緒あるオープニングとラストに流れる。
君はまさに
神秘的な微笑みをした
あの女性のようだ...
君が独りぼっちなのは
あの魅惑の微笑みに似た近寄りがたさが
あるからなのか?
恋人を誘うために
君は微笑んでいるの?
モナ・リザ...
それとも傷ついた心を
隠すために
そうしているのかい?
君を幸せにしてくれる
夢を持った男たちが
君の前にやって来ているよ
なのにその夢たちを
君は見向きもせず
だからやがて皆去って行ってしまうんだ
君に温もりはあるのかい?
君は現実のものなのかい?
モナ・リザ..
それとも君はやっぱり
ただの冷たく孤独で美しい
芸術作品なのか...