『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』
2015年イギリス映画
今もなお人気が衰えない伝説のバンド、NIRVANA。
27歳で自殺したフロントマン、カート・コバーンの人生を追ったドキュメンタリー。
1967年、両親に望まれて産まれたカート・コバーン。愛されて過ごした幼少期。
しかし、ADHDと診断され、当時としては珍しかった両親の離婚や友人との不仲…
それは15歳で覚えたマリファナでは癒される事のなかった深い心の傷となる。孤独、家族というものへの切望と反抗。
そして、パンクと出会い、音楽への愛を得る。若き天才は、2ndアルバム『nevermind』で突如としてロックンロール、グランジの申し子になるが、それへの戸惑い、妻コートニー・ラブなどへのマスコミの批判、かねてからの慢性的な腹痛、ヘロインへの依存で、彼の心は蝕まれていく…
コートニーと娘フランシスへの愛に溢れながらも、自ら命を絶つという末路になってしまったカートの人生…
前半の少年期の彼の心の痛み。
批判されけなされる事への異常なほどの拒絶反応は、どれほど彼が心を病んでいたのかわかる。
親戚の家をたらい回しにされて、愛を求める反面、傷つけられる事が人一倍恐ろしかったんだ。故にまた家族の愛を拒絶してしまう…痛々しかった…
世間から誤解され批判されていたコートニーとの関係は、幸せな愛に溢れていて、幸せな一家そのものだった。ヘロインさえなければ…
彼の1回目の自 殺未遂当時の日記を見て、泣きそうになった… 「Where did you sleep last night」 と共に…
実際に翌月にショットガンで命をたった事に関しては特に事実以外は触れられてはいないが、本当に僅かながらそれを理解できたような気がした…
監督はブレット・モーゲン。
製作総指揮に娘のフランシス・ビーン・コバーンが参加しているため、家族の全面協力があり、今まで発表される事のなかった私的なもので溢れていて、それだけで鳥肌ものだった。
心のままに綴った莫大な量のメモと日記。闇を感じる絵。彼のアートワークを見ると、才能は音楽だけでないのがよくわかる。
未発表音源と映像はそれだけで嬉しい。
それらと、少年期を再現したアニメーションとで、カートの素の人間味を感じ、彼のリアルな人生を追体験した気分になった。
インタビューされていた人は、カートの両親、妹、若き彼を支えた同棲相手、ニルバーナのベースのクリス・ノボセリック、そして妻のコートニー。
皆の、カートへの愛が伝わってきた。
唯一無二のカリスマ性と才能を持ちつつも、誰よりも繊細だったカート。
彼の真実に迫る素晴らしいドキュメンタリーだった。
単純に、爆音でライヴ映像が観れたのも嬉しかった。
題名は、1988年にカートが作ったミックステープから。
監督のインタビューも同時上映。
8年間かけて遺品を読み取り、いかにカートと家族に寄り添い、家族の愛をテーマにこの作品を作ったのかがわかった。
私がどれだけnirvanaに影響を受けたかわからない…
でも、それを言ったらきっとカートは嫌がるわ…
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ガス・ヴァン・サントがカート・コバーンの自殺にインスパイアされて作ったのが↓これ。
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