『嗤う分身』
内気で冴えないサイモン・ジェームズは仕事でも目立たず影の薄い存在。
アパートの向かいに住む同僚のハナの部屋を望遠鏡で覗く毎日。恋していてもその気持ちを伝えられない。
そんな時、自分と顔も服も瓜二つのジェームズ・サイモンが入社してくる。顔は同じでもサイモンとは正反対のもて男ジェームズは、一躍会社の人気者になる。
ズル賢いジェームズに、仕事もハナも奪われ…
ドストエフスキーの「分身」が原作なので、世界としては、昔の共産国家のような感じ。それでいて近未来みたいで、当時思い描いた未来って感じ。
古い機械が並ぶ機械的で工場的な会社。サイモンの部屋は色もなく狭い。レトロなコンピューター。陽も当たらず暗い。鉄とコンクリート。『未来世紀ブラジル』に近いかな。
サイモンは何をやってもうまくいかない。2人しか乗っていない電車で席を譲らされ(このファーストシーンからして不条理)、IDの入ったカバンはドアに挟まれ損失。
老人ばかりで覇気のない会社では顔も覚えてもらえず、意味のない仕事をしている。施設の母親からはバカにされている。エレベーターにもまともに乗れない。影が薄すぎてジェームズとそっくりな事すら同僚は気がつかない。
そんな彼が、ジェームズの登場によって翻弄されていく…
のが、ブラックユーモアたっぷりに描かれているんだけど、もちろん恐怖も感じる…
カフカやデヴィッド・リンチの不条理感や、ヒッチコックの『裏窓』オマージュも感じる。
音楽、良い♪「上を向いて歩こう」「ブルーシャトー」なんかも流れるよ♪
そして、光と影のコントラストがうまい‼ 基本的に暗い中で光が効果的に使われています♪
孤独と自分の存在意義をテーマとし、自己のアイデンティティーと分裂と理想と崩壊を描いた作品でした‼
ハナ役はミア・ワシコウスカ。ちょっとクセのある役柄です♪やっぱり彼女は良いね♪
一人二役を演じきったのはジェシー・アイゼンバーグ。素晴らしかった‼
監督・脚本は、英の俳優・コメディアンで、大好きな映画『サブマリン』で監督デビューしたリチャード・アイオアディ。
共同脚本は、ハーモニー・コリンの弟アヴィ・コリン(『ミスターロンリー』脚本)
妄想にふける『サブマリン』の主人公と、マイケル・ジャクソンの物真似をして人生を生きている『ミスターロンリー』の主人公と、孤独と共に生きているという点で似ていると思う。
製作総指揮は名俳優のマイケル・ケイン。
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