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ビール片手に映画ナイト☆オブ・ザ・デッド

↑このくまたんを押してもらうと、他のレビューが見れます。ホラー・サスペンス・コメディ・カルト・ミニシアター系を主にほぼ毎晩観ています♪ゾンビLove♪スプラッターLove♪音楽とかわいいもの、ビンテージものもLoveです♪ 過去に観た作品のレビューをゆっくりゆっくり他場所から移行しつつ、新しいのもアップしていくつもりです。なので時系列がめちゃくちゃですみません。

『野火』

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『野火 Fires on the plain』
大岡昇平の1951年の原作を、数十年映画化を切望していた鬼才塚本晋也監督が、また戦争がおこりかねない様な日本の現状で、この映画を撮るのは今しかないと作り上げた作品。資金難にも関わらず。
生存率3%のレイテ島戦線で生き延びた大岡の実体験に基づく原作と、塚本監督の戦争体験者への長年のインタビューを参考に作られた作品。

まず、私は戦争映画を本当に見ない。
苦しくなるから。
しかし、これはB級ホラーだとオススメされたのと、今年はあまりに戦争について考え、戦争映画を見なくてはと。そして塚本監督だし。素晴らしい上映チョイスで信頼しているカフェ映画館のシネマ・アミーゴで最終日という事で見てきた。
8月末のこと。


いきなりビンタから始まるこの映画。
結核を患う田中(塚本晋也)。役にたたないからと隊を追い出され病院行きを余儀なくされるが、負傷兵だらけの掘っ立て小屋の野戦病院では肺患い程度でよくこれたなと追い帰され、何往復もするうちに居場所もなくなり、孤立してしまう…

敗戦まじかのフィリピン・レイテ島を舞台に、
追い詰められて、飢餓と恐怖の極限状態になった人間が行きつく先を描いた作品です。


この映画には、戦いは出てこない。お涙ちょうだいもない。ヒーローもいないし、セリフも少ないし、敵兵もほぼでてこない。
ただ、兵士がさ迷い、撃ち殺され、またはのたれ死んでいく姿が映し出される。
観客は田村と同じ様に熱帯の戦地を体感している気分になる。
それは低予算故の手持ちカメラのみの撮影で、臨場感のある映像が逆に功をなしているだけど、
熱帯の湿気と死体の腐臭までも感じとる事ができる。

そして、実際の戦争とは、戦地とはこんななんだぞ‼と突きつけられる。
それも、思いっきりスプラッターで……

これ、ほんとに残虐スプラッター切り株ホラーでした‼
これでもかと描き出される地獄絵図は凄まじい…

ホラー大好き目線で言えば、転がる頭・赤黒い血・吹き飛んだ腕・這ううじ・流れ出るはらわた・剥がれた皮膚・飛び散る脳・ドロドロ内臓など、切り株映画度はかなり高く、素晴らしい特殊メイクでした。
低予算でよくここまでできたなと。ほんと、素晴らしい‼
きちんとグロさを描く戦争ものってなかなかない。
スピルバーグの『プライベート・ライアン』も人体破壊映画と言われているけど(見てないのでごめんなさい)、これほどまでにリアルに怖さだけを描いたものってないのではないか。
残虐性を見せてこその戦争映画なのではないか。


そして、ゾンビのようにさまよう兵士たち……
生きる意義も意味もわからず、フラフラと歩く…ただ食糧を求めて…
かわす言葉も「あ~」と。
これはゾンビ映画でもあるのです。
生きる希望を失った人は、飢餓におかされた人は、ある意味ゾンビなのです。
食べるものがなかった場合、どうなるかは想像つくでしょう…



ラスト。
この手記を書く生き残った帰国後の田中の姿。彼に“生”を感じる事はできない。トラウマ、PTSD、闇。今でこそ簡単に一言で解釈されてしまう症状。
しかし、この映画を見ると、それがリアルに伝わってきます。
生き残っても、生ける屍なのです。


では、野火とはなんぞや。戦下のジャングルで、それは“生”と“文明”の象徴であり、命の危険をさらすものであり、トラウマであり。
芋を生で食べることができなかった若者が、最後に火すら使わずにとったある行動に対し、恐ろしく原始的な“生”を感じるのです。
強い生命力と狂気と共に…


美しく鮮やかな自然は、ボロボロで黒い兵士と対比され、無駄な殺しあいをしている人間の愚かさを表しているようにも思えました。
そして、他の戦争映画と違ってカラフルな自然の色彩によって、とても70年前の話とは思えないのです。
実際に今現在起こりうる事実なのです。


主演までした塚本監督、リリー・フランキー、中村たつや、森優作の鬼気迫る演技も見事でした。塚本監督の顔…


これを観た直後、とてつもない気持ちになりました。実話だし…
私がわぁっ♪っとなってしまった(最低…)上記の残酷描写、本当の事だからなぁ…
そして、ビールを飲みながら見ていた自分が情けなくなりました…申し訳なくなりました…
途中で飲むのすら忘れていて、残ったビールの不味い事といったら…いろんな意味で…

これは説教くさい反戦ものではないけど、私はこの映画からはやはり反戦のメッセージをひしひしと受け取りました。
途中で、突如として「また繰り返すのか‼」「もうやめてくれ‼」という台詞がでてくるし。
リアルで残酷な描写で思いきり突きつけるのです…
低予算なのにそこに力を込める塚本監督の真意、伝えたい事が素晴らしいと思うのです。


ゾンビになりたいかね。
私は嫌だ。
今の安保論争でいろんな意見がある。現政権に対して反対意見を持つ私も、バカながら双方の立場で考えたりして、頭がぐちゃぐちゃになる中、
この映画は、この先実際に日本が戦火と化したら、自分もしくは未来ある子供たちがこんな状況になったらと考えさせられずにはいられない。

リアルな描写で擬戦争体験をさせられるトラウマ映画です。戦争と、それによって人が“人”でなくなっていく様は、その恐ろしさを知らないほとんどの世代の日本人が知るべきことで、この映画によって擬トラウマを体験して欲しいと思うのです。

そして、因果応報も感じずにはいられない。
マシンガンをぶっぱなす現地の女性は、あの女性であり、
主人公のとった行動も全てつながっていく…



調べてみたところ、レイテ島の戦いはほぼ空撃戦であり、日本兵への支援はほぼ無かったようです。
日本軍の、日本兵に対する人権への薄さが酷かったのはご存知だと思うけど、この映画を見るとその部分もリアルに想像できます。


一方で、ホラー好きとして、やはり切り株描写はすごいし、私を食べて~って言うケイトウの花からの脳‼の演出や、大量銃殺される場面のスローモーションのシーンで脳ミソが踏みつぶされてまた早さが戻ったりするところなんかも良かったです。
血みどろ好きが邪魔をする…脳内ぐじょぐじょ。





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