ビール片手に映画ナイト☆オブ・ザ・デッド

↑このくまたんを押してもらうと、他のレビューが見れます。ホラー・サスペンス・コメディ・カルト・ミニシアター系を主にほぼ毎晩観ています♪ゾンビLove♪スプラッターLove♪音楽とかわいいもの、ビンテージものもLoveです♪ 過去に観た作品のレビューをゆっくりゆっくり他場所から移行しつつ、新しいのもアップしていくつもりです。なので時系列がめちゃくちゃですみません。

『鉄男』

鉄男 [DVD]

『鉄男』
ずっとずっと見たかった作品。
鉄、大好きなもので♪
監督は塚本晋也、1987年作品。


鉄工場を歩く男。
重厚な音楽と、鉄のアップ。
切り開く足。太いネジを噛む歯。ねじ込むネジ。
開始4分でこの映画がただものではない事がわかる。

オープニングの7分だけで、何故か塚本監督になりたいって思った(笑)(笑)(笑)
普段、誰かになりたいなんて思った事は全くないのに(笑)
その才能が羨ましかった。


ある平凡なサラリーマンが、ある朝、頬に金属製のニキビのような突起を見つける。
通勤時に、腕が機械化した女に追われ、
己の体もどんどんと機械となっていく…
そして、この男がある事をした過去のある(これはだんだんとわかってきます)鉄フェチの“ヤツ”とのバトル…

↑意味、わからないよね(笑)
でも、この映画にストーリー説明などする意味はない。
というか、あって無いようなもの。


とにかく、すごい映画だった…


たたみかける映像のコラージュは、まるで悪夢のよう。

鳴り響く機械的なドラムのリズム。
不快な機械音と金属音、
子供の不気味な笑い声…
テレビのノイズ。


地下道や路地裏、古びたアパート、工場などのロケーションは、退廃的で錆びついていて、これだけでも世界観がでている。


モノクロ故に際立つ、鉄の質感、滴り落ちる汗、飛び散る血。夏のむせかえるような暑さまで伝わってきた。


写真コマ撮り連写の映像がかっこよすぎる。
低予算でCGが使えずにこの手法をとった事が項をなしていて、チープでありつつも、チープさを感じさせない異様な映像になっている。
かっこよくもあり、面白くもあり、みいってしまう。


音と、映像の、圧倒的迫力。
官能と、不条理。
ほんとにすごいものを見させられた。


男(田口トモロヲ)の演技もさることながら、
“ヤツ”を演じた塚本監督も素晴らしく、かつ面白い。撮影・美術など、全てを担当した彼のデビュー作で、凄まじい熱量とアイデアと映画愛と才能を感じざるを得ません。
助監督でもあり、男の彼女を演じた藤原京の、場末的なまめかしさもジットリしていて良いです。
ふいに出てくる浮浪者石橋蓮司と医者六平直政も良い。唐突で良い。


そんな中、笑えるシーンも多々あり、
(男のある場所がドリルになってるのとか、「滅多な事じゃ驚かないからぁ~」と連呼する女の驚きっぷりとか、“ヤツ”の登場とか)
これはホラーなのかなんなのかよくわからない。
モノクロ故、グロくはない。
ただ、すごい映画。
夜中にイヤホンで爆音にして観て欲しい。
体感して欲しい映画です。
私は爆音で見ました。


ラストの、
よぉし、こうなったら世界中を鋼鉄の固まりにしてやろうか
そして世界中を錆びくらさせてうちゅうの藻屑にかえしてやろうか
さぁ、俺たちの愛情で世界中を燃え上がらせてやるぜ
や・り・ま・く・ぞぉ~‼

という台詞、かっこいい(笑)(笑)(笑)

AKIRA」や「イレイザーヘッド」を彷彿とさせながらも、
凄まじい独自性を感じる映画でした。


これ、立て続けに2回観た。
一番心に残ってるのは、男と女の電話シーンで、
「もしもし」「もひもひ」「もしもし」「もひもひ 」がずっと続くところ。恐ろしく気持ちが悪い。


ま、とにかく、今さらながらこの映画を観たけど、塚本監督の『野火』も観て凄まじい迫力だったし、邦画の良さもわかったし、2本しか見てないけど塚本監督のファンになったし、他のも見る。そして、ほんと、見てない人に、この映画を体験して欲しいなと思いました。野火からの鉄男で良かった。根元見れて良かった。



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