ビール片手に映画ナイト☆オブ・ザ・デッド

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『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』

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セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』
原題『The Salt of the Earth 』
逗子、シネマアミーゴにて。

数多くの賞をとり、世界をまたにかける報道写真家、冒険家、環境活動家のセバスチャン・サルガド
ブラジルに生まれ、パリに亡命、エコノミストとなり訪れたアフリカでその実情を目の当たりにし、妻レリアの理解と協力のもとで世界を駆け巡る写真家となる。
そんな彼の、写真と人生を描いたドキュメンタリー。

ドキュメンタリーと言っても、様々な写真が画面に映し出され、その解説をサルガド本人がしていくのが主です。とても贅沢な映画です。

何ヵ月も何年も被写体と共に生活し、その本質までも理解した上での彼の写真は、素晴らしいとしか、いいようがない。
“神の眼”と呼ばれる彼の写真は、一枚一枚に命が宿っているようだった。

『アザー・アメリカ』で中南米に生きる様々な民族と厳しいながらも個性に溢れた生活を。
『サヘル』では国境なき医師団と同行し、悲しみに溢れたアフリカ飢餓を。
クウェートの油田火災に駆けつけた消防団を写し、『workers』では肉体労働者を。
エクソダス(出国)』では難民問題を写す。
生と死が混合する世界。密接に隣り合わせにある世界。死が日常の世界。
そして、地球へのオマージュである『ジェネシス (起源)』へと…


冒頭で監督のヴィム・ヴェンダースが語る。
「フォトグラファー。ギリシア語でフォトは光。光で撮る人。」と。
モノクロのその写真。皺の一本一本までもがくっきりと写り、深い意味を感じさせられる。

彼は光で、光と闇とを撮る。

光があれば闇と影がある。
人類の闇。それは恐ろしく、暴力的で、想像を絶する。
死。この世には人の命がこれだけ軽い場所があるのだと、涙が溢れて止まらない。
サルガドはいったい何万人の死と向き合ってきたのだろうか。
エチオピアでは、飢饉とコレラによってまさしく骨と皮だけになった死体が大切な水で清められる。富の配分を全くしない政府による被害は、暴力としか言いようがない。
コソボでは一日に1万人以上が死に、道は死体がころがり、父親は友人と世間話をしながら子供の死体を死体の山に捨てる。集められた死体は重機によってごみのように捨てられる。

ルワンダ内戦で心と精神を病んだサルガド。「あそこでは、誰も生きる道を見いだせない」、「人間の救済など信じられない」と…
彼の心の闇を考えると、また涙が止まらなくなる。

帰って来た故郷の農場は、荒れ果てた地になっていた。それはまるで彼の心を表すかのようだ。
そして、妻の提案で、そこに木を植え、森の再生へと着手する。荒れた大地が森林へと変わっていく中で、また彼も再生していく。

彼がたどり着いたのは、自然だった。
地球へのラブレターだと語る『ジェネシス』は、
未開の地、その自然の中でたくましく生きる人々とともに、動物の美、壮大な自然の美を写し出していた。
私は今までこんなに美しい自然を見た事がない。映像でも、現実でも。
圧倒的な迫力と生命力に溢れ、目に焼き付いてはなれない。
素晴らしすぎて、うまく言葉に出来ない。

彼の写真は、人間愛と地球愛に溢れている。
彼は生きるもの全てに尊厳を感じている。
誰しもが地球に住む一員なのだと思わせてくれる。
「人類は地球の塩」と語るサルガド。
この「塩」という意味、新訳聖書でのキリストの言葉。塩があれば食物は腐らない。必要なもの。それを深く深く噛み締める。


監督は、1枚の写真から彼に魅了された、『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』の巨匠ヴィム・ヴェンダースと、
セバスチャンの長男ジュリアーノ・リベイロ・サルガドの二人。

この映画は、ほとんど離れて暮らしていた息子との家族再生の話でもあります。
ヒーローのような存在だった父と同行することで、父を撮ることで、ジュリアーノは父を知ることができたであろう。
また、妻のレリアの素晴らしさにはただ脱帽しました。

ヴェンダースも、さすがでした。サルガドの写真とリンクするその映像、美しかったです。サルガドの写真がメインなので、ヴェンダース色は少ないものの、サルガド愛を感じました。

ほんとに、この映画を映画館で見れてほんとに良かった。
サルガドの写真、彼の人生を知れて良かった。
私の稚拙な言葉なんかでは、この良さは全く伝わらない。
良かったら写真だけでも見てみて下さい。人の闇を見続けてきた彼だからこそ撮れる荘厳な写真です。
予告だけでも。

星5


見終わったあとそのまま帰ろうと歩いていたけど、どうしても海が見たくなって引き返して、海岸へ。
薄オレンジの雲の切れ目から太陽が差して、ものすごく美しくて、幻想的で……
そして荒れた波の音を聴いて、陳腐な言い方だけど、地球は生きているんだと本当に実感した…
でも、この美しい空の向こうには、いまだに虫けらの如く死んでいる人たちがいると思ったら、悲しくて苦しくて、ひとりで号泣してしまった…

そして、このレビューを書きながらまた号泣しています。
なぜ人はゴミのように死ななければならないのか…
私に出来る事はなにか…
世界の惨状を世界に知らしめた彼の写真…
色々な事が頭と心を占めて、それ以外、考えられない。

支離滅裂レビューでごめんなさい。

だめだ、伝わらない。
数十年かけて、全身全霊をかけて撮り続けてきた彼の写真とその全てなんて、私のこの一日をかけても伝えられるはずがない。

でも、命って尊くも儚いもので、私はこの映画を見れたお陰で、生きている感謝の気持ちはずっと忘れないと思う。自然の大切さも忘れないと思う。



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