『365日のシンプルライフ』
夜の雪の降るヘルシンキの町を、裸の男が駆け抜けるw
26歳 ペトリ 独身・彼女なし
モノが大好き
彼は幸せをみつけるためのある実験をする。
ルールは3つ。
・持ち物全てを倉庫にしまい、持ってこられるのは一日ひとつ。
・それを1年続ける
・1年間何も買わない
という、ある男の一年間のドキュメンタリーです。
裸で走っていたのは家から倉庫まで、荷物を取りにいくため。全てのモノをしまってあるのだから、もちろん裸(笑)
あなたなら何を一番最初に選びますか?
ペトリは、ロングコートでした。
それに身をくるみ、袖に足を入れて寝袋のようにして寒さをしのいで寝ていました。
少しずつ、大事なものを運ぶペトリ。次は毛布。
そして、手元にある限られたもので、生活していきます。
体はコートの面側で拭き、靴下も下着ははかない。
モノを選んでいく中で、生きていくにはごくわずかなモノだけで大丈夫だと気づきます。
むしろ、もう何も欲しくなくなったり、スマホを持ってきたくなくなったり…
私たちの生活はモノに溢れています。
それによってアイデンティティーや自信に繋がっています。
それが全てなくなった場合、人は一体何を選ぶのか。
3年前に彼女にふられてモノを買いまくったペトリ。
モノを所有する事で、男らしさや頼り甲斐を持とうとしていた彼。
モノで自分を築いていた彼は、本来、人はそうではないのだと気付くのです。
彼のおばあちゃんが言います。
「人生はモノでできていない」「モノを所有するには責任がのしかかる」と。
このおばあちゃんの言葉は、全てが身に染みました。
でも、全く説教臭くなく、サラッとみれます。
そして、自分に置き換えて考えてみます。
モノって、いらないんだなぁと思う反面、これだけモノがたくさんある私は、だからといってものを捨てるか減らすかと言われたら、それは出来ないなぁと。
故に、この映画にそれほどまでに影響力がないって事なんだけどね(笑)
いや、違う。何が自分に大切なのかわからせてくれる映画なんだ、これは‼
「人生に必要なモノは100。残りは人生を豊かにするモノ。」だそうです、ペトリ曰く。
そこの、人生を豊かにするモノに、私は全力投資しているように思え、この映画の本質とは逆に自己肯定できたのです、私は。
今一度、何が自分に大切なのか、考えてみる良い機会になると思います。
そして、これを見て思うのは、ペトリが素晴らしい家族に囲まれ、助けてくれる友人と兄弟がいて、
モノよりも人の大事さを感じるのです。
で、結局一番必要なのモノは、恋と愛なのだなぁと……
監督・脚本・主演のペトリ・ルーッカイネン、途中で恋を見つけます。そのために必要なモノもでてきます。この恋のエピソードも微笑ましいです。
恋する幸せそうな彼の顔がとても印象的でした。
ドキュメンタリーならではの、素の表情。
彼も、これを恋愛映画だと言っているそうです。
恋の暖かさと幸せと煌めきをひしひしと感じた映画でした。
また、ジャズの音楽も素晴らしく、ティモ・ラッシーというサックスプレーヤーの曲らしいです♪
多少、演出を感じるものの、ユーモラスな発想となんだか後からジワリとくるようなドキュメンタリーでした。
[asin:B000PITZBW:detail]