『赤い影』
娘を水難事故で失ったジョン(ドナルド・サザーランド)とローラ(ジュリー・クリスティ)の夫婦。
その数ヶ月後、心の傷を癒すために夫婦は教会の修復の仕事でヴェニスに滞在していた。
ある日、レストランで出会った老姉妹。盲目の妹は霊能力があり、赤いレインコートを着た彼らの娘が二人の間で笑っているという…
ローラは喜び、姉妹を狂信的に信じるようになる。
しかし、ジョンは二人を全く信じようとしない。
一方、その頃、ヴェニスでは連続殺人事件がおきており………………
映像と音。
とにかく映像が素晴らしい。映像だけで不安にさせる。
全編を通して不安定な感じと、水の湿った感じ。
雨。娘が亡くなった池。
ヴェニスの、水っぽさと、迷宮の様な暗い暗い路地。
細かなカット割。
暗闇の中で光る赤。
スローモーション。
何度も別アングルで撮影された娘の死のシーン。
そして、過去・現代・未来の時間軸のカットバック………
監督は撮影監督として有名なニコラス・ローグ。
だから、本当に、映像で語っている映画でした。
長い濃厚なベッドシーンがあるんだけれど、それもこの映画には重要なシーンだなと思った。
その前からの流れとあわせて、この中年夫婦の関係を見事に表しているなと………
星5
オカルト色のある、サスペンスミステリーであるとともに、夫婦を描いた映画でした。と、思う。
欲を言えば、連続殺人事件の事があまりえがかれていないのが、ホラー好きとしては…だけど、それがテーマではないから、よしとする。
ちょっとこれ、もう一度見なきゃな。
原題は『Don't look now』今を見るな。
でも、邦題の『赤い影』も良いな。
原作は、ヒッチコックの『鳥』などで知られるダフネ・デュ・モーリアの短編小説