『マップ・トゥ・ザ・スターズ』
『マップ・トゥ・ザ・スターズ』
2014年 カナダ・アメリカ・ドイツ・フランス映画
今回は全くネタバレをしたくないので、ストーリーは書きません。主な登場人物(前半30分まででわかる事)を。
私も、監督がデヴィット・クローネンバーグ‼‼‼ってだけで見たから。好きなの♪
舞台はハリウッド。
アガサ(ミア・ワシコウスカ) 顔に火傷をおった女性。ハリウッドに来て、ハバナの秘書てか使い走りとなる。
ハバナ・セグラン(ジュリアン・ムーア) カルト的人気をほこる女優クラリスを母に持つ、若干落ちぶれた中年女優。母から虐待された傷をおい、焼死した母が主演した映画のリメイクに出演しようと必死。母の亡霊に惑わされる。
スタッフォード・ワイズ(ジョン・キューザック) セレブ御用達のセラピスト。ハバナも彼の患者。テレビにも出ていて、この一家もセレブ。
ベンジー・ワイス(エヴァン・バート) スタッフォードの息子で子役アイドル。薬物問題を抱えている。売名行為で病気のファンの慰問に訪れ、その子が死んでから彼女の幽霊を見る。
ジェローム(ロバート・パティンソン) リムジンタクシー運転手。売れない脚本家かつ俳優。アガサを乗せたことから、彼女と交流を持つ。
クローネンバーグといえば、プリンス・オブ・ホラーとして名高い鬼才。『ヒストリー・オブ・ザ・バイオレンス』『イースタン・プロミス』『ザ・フライ』『ヴィデオ・ドローム』『クラッシュ』『スキャナーズ』『ザ・ブルード』『ラビッド』『裸のランチ』『イグジステンス』などなど…←うひゃ、思わずいっぱい書いてしまった(笑)(笑)(笑)
過去作では「肉体」というものに焦点をあて、その変貌や破壊をえがいてきました。かなり特殊な方法で。異常といえるほどの醜悪かつ異様。そこに恐怖と社会風刺、内面の悪を交え、毎回賛否両論を巻き起こしています。
近年それは変わってきてる。「肉体」から「精神」へと。歪んだ精神。『イースタン~』・『ヒストリー~』で感じる淡々とあらわされる恐怖、人間の闇。今回もそれを感じた。で、また「肉体」の見た目
へと少し戻ったような。今作では美と内面のギャップとしての「肉体」だった。
ハリウッドの嫉妬・欲望・闇というものに対して、さすが非ハリウッド監督の鬼才‼ガッツリとえぐっています。(リンチの『マルホランド・ドライブ』も同じくハリウッドの暗黒部分をえぐっていた。ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』は未見)
ジュリアン・ムーアは正しくハリウッドの汚さ醜さの象徴。滲みだらけの肌、アガサの前でトイレのドアあけておならしながら便秘の話(ここまでやったジュリアン・ムーアに拍手)、嫉妬。
火傷跡のあるアガサを雇ったのも母への執着からで、後半の醜さは半端無い。
そして、アガサ。詳しくは書かないけど、彼女の存在がこの映画の一番のポイントです。
彼女を巡って、色々あります。ま、後から見たら、普通に映画の説明に書いてあったけど、ここでは伏せます。
題名のスターズ。この意味、最後にわかる。映画界の星ではないのです。
星5弱
栄光と過去に囚われた人間の恐ろしさと悲しみ。
そして、愛……。
そして、血ね…。近親愛と近親憎悪とその負の連鎖……
大人なのに大人になれない人の浅はかさ。
劇中に何度も出てくるポール・エリュアールの詞。
「望まぬ不在の上に むき出しの孤独に 死の階段の上に 君の名を書く 戻った健康の上に 残された危険の上に 記憶のない希望の上に君の名を書く 一つの言葉の力で 人生を再開させる 私が生まれたのは君と会い 目指すため。 自由と」
ん~‼
ストーリー書かずにネタバレしないように書くのって難しい……重要な所が書けない。
兎に角面白かったのさ♪