ビール片手に映画ナイト☆オブ・ザ・デッド

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『バードマン』

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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

4月18日映画館にて。

かつて、ヒーロー「バードマン」として一躍人気ものだった俳優のリーガン。今は人気もなく、落ちぶれていく一方。
心機一転、ブロードウェイで、レイモンド・カーヴァーの短編小説「愛について語るときに我々の語ること」をもとに主演・演出・脚本の舞台を公演し、俳優人生と全てをかけて再起をはかろうとするが、
元薬物依存症の娘との関係、
共演者マイクの才能へと嫉妬と狂気、
そして、バードマンとしてしか認知されていない俳優としての自信の喪失、過去の栄光、舞台の成功への不安が次第に心を蝕んでいく…


まさしく、映画界の真実をあらわした映画だった。
俳優の闇、現実。
それを、幻想が入り交じった不思議な世界観で表していた。

撮影監督はエマニュエル・ルベツキ。『トゥモロー・ワールド』『ゼロ・グラビティ』でもあった長回しの技術が今回は最初から最後まで。
舞台初日までの数日間が、全く一切途切れることなく、流れるように撮影される。これは驚異的だった‼ すごい映像体験。うつっていた人物からカメラがそれた先にまたその人物。夜かと思ったら朝。屋上から窓を通って室内へ。
これがまた、この映画の幻想的な部分にかなり貢献している。臨場感も。


昔『バットマン』として一世を風靡したマイケル・キートンがリーガンを演じて、まるで自身のことのような素晴らしい配役。リアリティーがありすぎw
マイク役のエドワード・ノートンも『ハルク』、娘役のエマ・ストーンも『アメイジングスパイダーマン』と、ヒーローものに出ているところも面白い。あ、売れない女優役のナオミ・ワッツは『マルホランド・ドライブ』でもその役をしてたな。意図的なんだろうな。

演技もほんとに素晴らしく、
特にマイケル・キートンの哀愁と憂いと悲しみ、怒り、焦りに満ちたそれは、鬼気迫るものがあった。

リーガンが自信を失った時に語りかけてくるもうひとりの自分であるバードマンとのやり取りが痛々しい。過去から脱却したいのに出来ない葛藤。
そして、それまで否定していたバードマンとしての自分を認めるんだが…


オープニングのレイモンド・カーヴァーの言葉。
「人生の望みを果たせたか?」
「果たせた」
「何を望んだのか?」
「愛されること」

これがこの映画の全て。


ラストの解釈は人それぞれだろう。えっ??ってなるよ。難解だと思う。
私は、「悲しい結末のハッピーエンド」だと思う。
私は、公開初日の朝にすでに…とも、それとも舞台のラストがラストだったと思う。
このラストを考えるのがものすごく楽しい‼


また、映画を観る側ではなくて、表現者に向けて作られた映画のように感じる。そして、映画のレビューを書いてる批評家に痛恨のパンチを喰らわしてる映画でもあった。


監督はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。『アモーレス・ペロス』『バベル』など。
彼の芸術的センスは素晴らしい。そこにエンターテイメント性とブラックユーモアが加わった今作は、アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞受賞。

星5
人から認識される自分とは、評価される自分とは何かと。俳優を通して万人にいえるテーマ。

生ドラム、やばい。