『マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマン』
『マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマン』
ゴンゾー・ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンと共に取材をしたり挿し絵を描いた、ラルフ・ステッドマンという男。60年代後半から一世を風靡し、今もなお製作を続け人気を誇る風刺漫画家を追うドキュメンタリーです。
まず、ハンター・S・トンプソンのとこを説明すると、ゴンゾー(ならず者)ジャーナリストと呼ばれ、ただのジャーナリストではなかったの。唯一無二。
体当たりで、自らその話の中に入り込み、一人称でその題材を取材した人。ハチャメチャした人。酒・ドラッグにまみれてて。そのめちゃくちゃぶりもきちんと記事になっているのです。
彼の書『ラスベガスをやっつけろ』はテリー・ギリアム監督、ジョニー・デップとベニチオ・デル・トロで映画化され、それを観ればどんな人がよくわかるよ。面白いよ。同じくジョニー・デップがまたトンプソン役で彼の書『ラム・ダイアリー』も主演・製作したけど、持ってるけどまだ観てない。
で、今作は、二人を心より尊敬し、友情関係にもあったジョニー・デップがインタビュー役を努めています。
本題のラルフ・ステッドマンなんだけど、イギリスからアメリカに渡る。トンプソンと共に仕事をして、一般的にはそのイラストを書いた人のイメージだったけど、彼もいかに怖いもの知らずだったのかがよくわかる。精神的に。
彼のアナーキーな作品は、不適切・過激・暴力的と呼ばれているけれど、そこには何にも恐れず作品を発表する強さがある。それは、彼の“なんとか世界を変えてやろう”という意思がそうさせていたのがよくわかる。
ベトナム戦争、ニクソン大頭領など“仮面を着けた暴力である権力”に対して、筆で戦った人なのである。
彼の温厚な雰囲気とは真逆の、怒りに満ちたその絵のパワーが本当に素晴らしかった。一枚一枚に込められた吐き出された毒。熱いと一言では言えない強さ。
でも、彼は今でも自分の事をアーティストとして認めてもらっていないと。いち風刺漫画家だと語っています。
彼の『ドゥーンズベリー』はピューリッツァー賞も受賞しています。
監督はCM畑出身のチャーリー・ポール。
ステッドマンの絵が生き生きと動き、それだけで楽しい。
彼がどのように絵を製作しているのか、非常に興味深かった。
そして、パラノイズという、ポラロイドカメラの写真が定着する前に加工しイメージを溶け合わせる手法も面白かった。
ダヴィンチ、ピカソ、レンブラント、フランシス・ベーコンなどから影響を与えられていたこと、
テリー・ギリアムやウィリアム・バロウズとの交流と共通点。あ、『ウィズネイルと僕』も出てくる。
星4.8
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ウィズネイルと僕
http://mikimickle.hatenablog.com/entry/2015/06/03/132059
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